• 検索結果がありません。

介護保険法の改正に伴う所要の規定の 整備

⑴ 制度の概要

 消費税は、国内における消費一般に対して広 く公平に負担を求める税であり、原則としてす べての財貨・サービスの国内における販売、提 供などをその課税対象としていますが、社会政 策的な配慮から介護保険法の規定に基づく居宅 介護サービス費の支給に係る居宅サービス、施 設介護サービス費の支給に係る施設サービスそ の他これらに類するものは非課税とされていま す。

 具体的には、次に掲げる介護サービスが非課 税とされています。ただし、特別の居室の提供 その他の財務大臣が指定する資産の譲渡等(平 成12年大蔵省告示第27号)に該当するものを除 きます。

① 要介護者向け介護サービス

イ 居宅介護サービス費の支給に係る次の介 護サービス(消法別表第一第七号イ、消令 14の 2 ①)

 訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪 問リハビリテーション、居宅療養管理指導、

通所介護、通所リハビリテーション、短期 入所生活介護、短期入所療養介護及び特定 施設入居者生活介護(以下「訪問介護等」

といいます。)

ロ 施設介護サービス費の支給に係る次の介 護サービス(消法別表第一第七号イ、消令 14の 2 ②)

 介護福祉施設サービス(特別養護老人ホ ーム)及び介護保健施設サービス(老人保

健施設)等(以下「施設サービス」といい ます。)

ハ 特例居宅介護サービス費の支給に係る訪 問介護等又はこれに相当するサービス(消 令14の 2 ③一)

ニ 地域密着型介護サービス費の支給に係る 次の介護サービス(消令14の 2 ③二)

 定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜 間対応型訪問介護、認知症対応型通所介護、

小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共 同生活介護、地域密着型特定施設入居者生 活介護、地域密着型介護老人福祉施設入所 者生活介護及び複合型サービス(以下「定 期巡回・随時対応型訪問介護看護等」とい います。)

ホ 特例地域密着型介護サービス費の支給に 係る定期巡回・随時対応型訪問介護看護等 又はこれに相当するサービス(消令14の 2

③三)

ヘ 特例施設介護サービス費の支給に係る施 設サービス等(消令14の 2 ③四)

(注) 「要介護者」とは身体上又は精神上の障害 があるために、入浴、排せつ、食事等の日 常生活における基本的な動作の全部又は一 部について、継続して、常時介護を要する と見込まれる状態の者をいいます。介護の 必要程度に応じて軽度の要介護 1 から重度 の要介護 5 までの 5 段階の区分があります。

② 要支援者向け介護サービス

イ 介護予防サービス費の支給に係る次の介 護サービス(消令14の 2 ③五)

 介護予防訪問介護、介護予防訪問入浴介 護、介護予防訪問看護、介護予防訪問リハ

ビリテーション、介護予防居宅療養管理指 導、介護予防通所介護、介護予防通所リハ ビリテーション、介護予防短期入所生活介 護、介護予防短期入所療養介護及び介護予 防特定施設入居者生活介護(以下「介護予 防訪問介護等」といいます。)

ロ 特例介護予防サービス費の支給に係る介 護予防訪問介護等又はこれに相当するサー ビス(消令14の 2 ③六)

ハ 地域密着型介護予防サービス費の支給に 係る次の介護サービス(消令14の 2 ③七)

 介護予防認知症対応型通所介護、介護予 防小規模多機能型居宅介護及び介護予防認 知症対応型共同生活介護(以下「介護予防 認知症対応型通所介護等」といいます。)

ニ 特例地域密着型介護予防サービス費の支 給に係る介護予防認知症対応型通所介護等 又はこれに相当するサービス(消令14の 2

③八)

(注) 「要支援者」とは要介護状態となるおそれ がある状態の者をいいます。日常生活にお ける支援の必要程度に応じて要支援 1 と要 支援 2 の区分があります。

③ その他の介護サービス

イ 居宅介護サービス計画費の支給に係る居 宅介護支援及び介護予防サービス計画費の 支給に係る介護予防支援(いわゆる「ケア プラン」の作成等)(消令14の 2 ③九)

ロ 特例居宅介護サービス計画費の支給に係 る居宅介護支援又はこれに相当するサービ ス及び特例介護予防サービス計画費の支給 に係る介護予防支援又はこれに相当するサ ービス(消令14の 2 ③十)

ハ 市町村特別給付として行われる資産の譲 渡等のうち訪問介護等に類するものとして 厚生労働大臣が財務大臣と協議して指定す るもの(消令14の 2 ③十一)。具体的には

「要介護者等に対してその者の居宅におい て食事を提供する事業」が指定されていま す(平成12年厚生省告示第126号)。

ニ 介護保険法の規定に基づく地域支援事業 として要支援者又はこれに類する者に対し て行われる介護予防・日常生活支援総合事 業に係る資産の譲渡等(介護予防サービス 又は地域密着型介護予防サービスのうち、

市町村が定めるものその他の厚生労働大臣 が財務大臣と協議して指定するものに限り ます。)(消令14の 2 ③十二)

ホ 生活保護法の規定に基づく介護扶助等の ための居宅介護(訪問介護等及び定期巡 回・随時対応型訪問介護看護等(上記①ニ の地域密着型介護老人福祉施設入所者生活 介護を除きます。)並びにこれらに相当す るサービスとして厚生労働大臣が財務大臣 と協議して指定するものに限ります。)、施 設介護及び介護予防(介護予防訪問介護等 及び介護予防認知症対応型通所介護等並び にこれらに相当するサービスとして厚生労 働大臣が財務大臣と協議して指定するもの に限ります。)等(消令14の 2 ③十三)

⑵ 改正の内容

 介護保険制度については、「持続可能な社会 保障制度の確立を図るための改革の推進に関す る法律」(平成25年法律第112号)に基づく措置 として、地域において効率的かつ質の高い医療 提供体制を構築するとともに地域包括ケアシス テム(地域の実情に応じて、高齢者が、可能な 限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じ 自立した日常生活を営むことができるよう、医 療、介護、介護予防(要介護状態若しくは要支 援状態となることの予防又は要介護状態若しく は要支援状態の軽減若しくは悪化の防止をいい ます。)、住まい及び自立した日常生活の支援が 包括的に確保される体制をいいます。)を構築 することを通じ、地域における医療及び介護の 総合的な確保を推進するため、平成26年の通常 国会(第186回国会)において、「地域における 医療及び介護の総合的な確保を推進するための 関係法律の整備等に関する法律」(平成26年法

律第83号。以下「医療介護総合確保推進法」と いいます。)が可決・成立し、同年 6 月25日に 公布されています。

 この法律に基づく介護保険制度の改革に伴う 消費税関係の改正は以下の通りです。なお、消 費税の改正については、消費税法施行令等の一 部を改正する政令(平成27年政令第145号)等 により所要の整備が行われています。

① 小規模通所介護の地域密着型サービスへの 移行(平成28年 4 月 1 日施行分)

 医療介護総合確保推進法第 6 条(介護保険 法の一部改正)により、介護保険法において 居宅サービスの一つとして位置付けられてい る通所介護(デイサービス)のうち、小規模 な通所介護事業については、少人数で生活圏 域に密着したサービスとして、地域の連携や 運営の透明性の確保を図る等の必要から、市 町村が指定・監督等の事務を行う地域密着型 サービスに位置付ける見直しが行われました。

 具体的には、介護保険法に規定する居宅サ ービスの一類型である通所介護のうち、小規 模型の通所介護を「地域密着型通所介護」

(新介護保険法 8 ⑰)として地域密着型サー ビスに位置付けることとされました。この改 正を踏まえ、消費税が非課税とされる地域密 着型サービスの対象に地域密着型通所介護を 加えることとされています(消令14の 2 ③二)。

② 介護予防訪問介護及び介護予防通所介護の 地域支援事業への移行(平成27年 4 月 1 日施 行分)

 医療介護総合確保推進法第 5 条(介護保険 法の一部改正)により、介護保険法における 介護予防サービスとして、これまでサービス の種類や内容等につき全国一律の基準によっ て行われていた介護予防訪問介護及び介護予 防通所介護(旧介護保険法 8 の 2 ②⑦)につ いては、市町村が地域の実情に応じ、住民主 体の取組を含めた多様な主体による柔軟な取 組により効果的かつ効率的にサービスを提供 できるよう地域支援事業に移行することとさ

れ、新たな地域支援事業における介護予防・

日常生活支援総合事業(以下「新介護予防・

日常生活支援総合事業」といいます。)とし て位置付けることとされました(新介護保険 法115の45①。下記③参照)。

 また、医療介護総合確保推進法においては、

これに関連して以下の経過措置が置かれてい ます。

イ 医療介護総合確保推進法第 5 条による改 正の施行日の前日である平成27年 3 月31日

(医療介護総合確保推進法附則第14条第 1 項の条例で定める場合においては、当該条 例で定める日)において、要支援認定等を 受けていた被保険者等に対する保険給付に ついては、当該認定有効期間の末日その他 の平成30年 3 月31日までの間において厚生 労働省令で定める日までの間は、旧介護保 険法第 8 条の 2 第 1 項等の関係規定はなお 効力を有することとされています。この経 過措置により、平成27年 3 月31日時点で要 支援認定等を受けていた被保険者等につい ては、この改正の施行日以後引き続き当該 認定有効期間の末日等までの間は、旧介護 保険法の規定による介護予防訪問介護及び 介護予防通所介護を利用できることとなり ます(医療介護総合確保推進法附則11)。

ロ 平成27年 4 月 1 日から新介護予防・日常 生活支援総合事業を開始することが困難で ある市町村が、その旨を各市町村の条例で 定めることにより、介護予防訪問介護及び 介護予防通所介護の地域支援事業への移行 を猶予する経過措置(医療介護総合確保推 進法附則14①)の対象となる市町村が行う 介護保険の被保険者に対する保険給付につ いては、平成27年 4 月 1 日から平成29年 3 月31日までの間において当該条例で定める 日までの間は、旧介護保険法第 8 条の 2 第 1 項等の関係規定はなお効力を有すること とされています。この経過措置により、介 護予防訪問介護及び介護予防通所介護の地

関連したドキュメント